労災保険に関する事務の委託について

労災保険など労働保険の事務処理や手続きは企業がそれぞれ行うことになっていますが、これを労働保険事務組合に委託することも可能です。労働保険事務組合は労働保険の保険料の徴収等に関する法律によって設立された団体であり、さまざまな保険事務手続きの代行を行っています。

労災保険の事務手続きを労働保険事務組合に委託するということは、単純に言えば事務処理のアウトソーシングです。労災保険の加入には保険料の計算やその額の申告と納付、企業内での異動などによる保険資格の得喪、転勤の届出など各種の手続き、届出が必要になります。このような煩雑な事務処理と手続きを代行してもらうことによって、企業は事務コストをカットでき、企業内の人材を中核事業へ振り分けることが可能になります。

また、保険料が分割納付可能になるのも大きなメリットのひとつです。本来労災保険の保険料は年に1回、一括して納付しなければいけませんが、労働保険事務組合に事務処理を委託すると年3回の分割納付が認められます。資金繰りが非常に楽になるため、この分割納付も事務処理を委託することの大きな目的になっています。

労働保険事務組合では事務処理の代行のほか、専門のスタッフをそろえて人事や労務関係のアドバイスを企業に行っています。そのほかにも労働保険事務組合への事務委託が、中小事業主による労災保険特別加入の必須要件になっているなど、労働保険事務組合は労災保険の維持、運営に大きな役割を果たしているのです。